はじめに

主に20~40代の若い中学校理科の先生が、日頃から疑問に感じていることや、授業のしにくさを感じていることに焦点をあて、短時間で解決できる授業技術の習得を目指して書いたものです。そして基本的なモットーとして、次のことを大切にしたいと思います。

むずかしいもの を わかりやすく
 わかりやすいもの を たのしく
  たのしいもの を かんたんに
私たち教員の世界は、働き方改革を進めてきているものの、まだまだ道半ばであるといえるでしょう。その理由はいくつもありますが、ここでは2つだけあげてみましょう。

1つ目は、生身の人間相手を相手にする仕事であることです。教師が、温かく適切な指導を行えば、信頼関係は深まって、大きな喜びを感じることでしょう。
しかしながら、その逆になってしまうと、何とも苦々しい仕事になってしまいます。つまり結果は、天と地ほど違ってしまうのです。

2つ目は、私たちの「授業」という仕事は、ルーチンワークではないので、毎回新たな準備や工夫が必要なのです。
これらことが、私たちの仕事量を、劇的に増やす構図になってしまっています。

そんな中で、我が身を救う手だては、教育技術の習得と教材研究しかありません。これを効率よく行うには、ノウハウが高密度に集積しているものの存在が欠かせません。このようなものがあれば、遠回りをしたり迷子になったりすることなく、最短距離でゴールに近づくことができるでしょう。私は、たくさんの理科の先生たちにかかわりながら、そういうものができないだろうか考え、サイトを立ち上げることに至りました。
微力ながら、少しでもそういう存在に近づきたいと思っております。

まずは、初めて教壇に立つ新採の先生に必要な基本技術について、より「わかりやすい授業」にするテクニックを紹介していきます。
また、中堅の年代の先生方の「根深い悩み事に、本質的な回答を」する形で紹介していきます。
さらには、私たちの前に立ちはだかる環境問題や自然災害の課題に対応し、理科における「環境教育」、「防災教育」などを重視した授業の仕方について、紹介していきます。

1,「わかりやすい授業」のために

「わかりやすい授業」のために、本サイトは3つのことを重視しています。

生徒にとって、わかりやすく理解が容易な指導法であること。
先生にとっても指導がしやすくなること。
・生徒にとっておぼえやすくなること。

このようなことを可能にするため、基本的な教育技術についてまとめるとともに、新しい学習内容(概念)については、できる限り「例え」を活用し、各学習内容にその具体例を記載していきます。
これを用いると、生徒にとっては驚くほど理解が容易になりますので、その効果のほどを実感していただきたいと思います。

また、教科書に記述する義務がないような、ややレベルの高い内容についても、「生徒にとって分かりやすく実感を伴う理解に結びつくなら、積極的に教える。」というスタンスのもと記載しました。それは、たとえば、その学習内容が「生活の中でどのように便利になっているか。」などがあります。ぜひ活用してみていただきたいと思っています。

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2,「環境教育の充実」のために

近年、過去にないような猛暑の日が続いたり、春や秋が短く、記録的な気温や降水があったりして、気候の異常さを感じている先生方も多いと思います。
それに伴い、「このままでいいのだろうか。」「何とかしないと手遅れになる。」といった危機意識を、少なからずお持ちであろうと思います。
SDGs(持続可能でよりよい世界を目指す国際目標)の中でも、特に「環境教育」を強力に推進していく人間を育成することが、理科を担当する私たちに期待されています。SDGsは2030年を目標年度にしていますので、あと数年しかありません。人類にとっては喫緊の課題なのです。

本サイトでは、このような視点に立ち、「理科教育における環境教育」の充実のための、様々なアイデアをちりばめようと思っています。

3,「防災教育の充実」のために

日本国政府は、「想定を超える気象災害が各地で頻発し、気候変動はもはや『気候危機』と言える状況の中、こうした時代の災害に対応するためには、気候変動リスクを踏まえた抜本的な防災・減災対策が必要です。」(2020年06月)と述べています。
中でも水害については、台風や線状降水帯など、想定を超えた豪雨が相次いで起き、激甚災害などが発生しています。しかし、残念ながら治水対策の強化が間に合わないのが実情のようで、地球温暖化とともに増加していくことが危惧されています。

また、地震についても、首都直下地震や南海地震など、今後も大きな地震が政府によって想定されています。
このような中、科学的な視点を大切にしながら、進んで防災、減災の対応を実行し、協力できる人間を育てていくことが期待されているところです。

本サイトは、これらに対応した理科の授業に力点をおいて、授業の在り方の工夫を提案していきます。

4,その他の領域等

評価については、特に難しいと感じる傾向のある「評価規準の簡単な作り方」ならびに、「主体的に学習に取り組む態度の評価の仕方」について、容易にできる方法を紹介していきます。
また、理科の授業における道徳教育、生徒指導、人権教育、特別支援教育、PISA型学力の指導の充実の仕方なども解説していきます。

さらに本サイトは、平易な言葉で書くことを心がけておりますので、スラスラと読めてしまうかと思います。
新しいテクニックはもう「あなた」の目の前にあります。一つのタイトルは2~3ぺージです。これを読むには3分もあれば十分でしょう。
つまりは、速効(即効でもいいですが)で今までになかった「あなた」になっていると思います。
新しい自分に出会い、明日は少し背伸びができた先生になり、効果を実感してみてください。

5、その他の方々へ

また、違う教科の先生方、 違う校種の先生方には、「共通するもの」、「発想のヒントになるもの」のあるかと思いますので、発想を楽しく豊かにもちながら、読んでいただければ幸いです。
さらに、一般の方にも、極力、平易に書くことを心がけておりますので、このサイトで科学をやさしく学ぶと、今までのイメージが全く違うものになる可能性があるかと思います。
特に3年では、開発中の最先端の科学技術についての解説を加えました。
ぜひ、難しい用語などは飛ばし読みをしていただいて、楽しんでいただければ幸いです。

“はじめに” への 33 件のフィードバック

      1. 美的なサイトを目指しています。
        今は週に2回のペースで最新記事をUpしてます。
        そのたびに、写真を選んでいます。
        たびたびご覧いただき、感想をいただければ幸いです。

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  1. アメリカは50年ぶりに月の有人探査を計画しているそうですが,日本の取るべき立場はいかがですか・・・  アルテミス計画すごいですね

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  2. 初めて教壇に立つ 理科教員 です。
     明日からの授業に役立つことは何ですか。
      ポイントを教えてください。
       どうぞよろしくお願いいたします。
         今すぐ,すべきことと,しないほうがいいことを,教えてください・・・

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    1. コメントありがとうございます。
      なかなか本質的で、深く、幅広い質問ですね。
      答えは多岐にわたると思います。
      メニューの中の授業技術、理科授業技術等を参考にしてみてください。
      今後もその期待に沿えるようなものを順次公開していきますので、楽しみにしていただければと思います。

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  3. インパクトありますね…

    ※訂正箇所です。
    主に20~40代の若い中学校理科の先生が、日頃から疑問に感じていることや、授業のしにくさを感じていることに焦点をあて、短時間で解決できる授業技術の習得を目指して書いたものです。そして基本的モットーしとして、次のことを大切にしたいと思います。

    ×基本的モットーしとして、
    〇基本的なモットーとして、

    誤りです。 ご検討ください。

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  4. 鏡に本来映り込まない。 もしくは,反射角,入射角を上手く扱った画像ですね。 不思議だな・・・  おかしいでしょ  これは中1の素直なコメントです。

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  5. 新型コロナウイルス感染症拡大防止 ガイドライン 政府の方針 義務付けられている 感染リスク 危機管理 科学的根拠に基づいて 生命第一 マスク 消毒 ・・・ 難しいです  対応に悩んでいます ・・・  今日は「富士山の日」です。 

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  6. 山や川に落ちている石は拾ってきて,授業で見せても大丈夫ですか?

    所有権 国定公園 私有地 河川法 いろいろ課題があるみたいですが,見せるだけなら許容してもらえるのかな?  自分の家に飛んできた,火山岩や深成岩なら大丈夫でしょうが・・・  それでは,家が燃えてしまいますね・・・ やっぱり,土産物店で買ってくるといいのかな・・・  なんて考えてしまいます  昔は・・・  ですね  大きな敷地がある人はいいですね・・・  そうだ !! 山を持っている友達がいるといいですね 

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  7. 検索向上のために
    感嘆!中学理科2023 簡単
    感嘆! 中学 理科 2023 簡単
    中学の前後に,半角スペースを入れるといかがでしょうか
    検索されやすくなると思いますが・・・ 

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  8. チャートとは,放散虫の殻が堆積して岩石になったもの・・・

    放散虫とは,大きさが0.1 mm程度の,海に浮遊している非常に小さなプランクトン・・・

      きっと・・・ 宇宙の大きさ…  地球のすばらしさ…  大谷の偉大さ…  生徒は気付くと思います。 

        理科っていいなあ・・・  

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  9. 雷 誘導コイル 静電気 放電 誘導コイル クロス真空計 真空放電 直流電圧
    真空ポンプ ネオンサイン 十字板入りクルックス管 ・・・
       理科ならではの学びですね
          知るって…  分かるのてって…  学ぶって…  楽しいですね 
              準備は大変ですが,実験は大切ですね

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  10. この 「感嘆! 中学 理科 2023 簡単」には,いくつ投稿されているのですか?
    すごい投稿数ですね・・・  
      目標とか  方向性とか あるのですか?   毎週何本とか 毎月〇〇・・・
        これからも 楽しく 見させていただきます

           どうぞよろしくお願いいたします。 

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    1. お読みいただいてありがとうございます。
      おかげさまで、今日現在で35本になりました。
      皆さんには、一気に全部でなく、1本3分くらいで読めますので、
      必要なときに必要なものを
      関心があるものを、適時
      週に一度、最新のものだけを
      など、気ままに読んでいただければ幸いです。
      なお、週に2本くらいのペースで投稿し、
      「最新」には1週間ほど入れておいています。
      今後もよろしくお願いします。

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  11. 指名の仕方をどのようにしたらよいか・・・
    授業中の教師の発問に対し、生徒が活発に挙手をし、他の生徒がその発言内容を聞き学びが深まっていくことは、とても素晴らしいことです。・・・

      【 どんな授業にしたらよいか・・・ 】   

    しかし、その方法だけに頼っていてもよいのでしょうか。・・・
    そこで、指名の方法について、それぞれの長所と短所を洗い出して整理するとともに、適切な使用の場面について考えてみましょう。・・・

      【 その答えは・・・ 】

    きっと,このサイトから見つかることと思います・・・

    法律もわかる,理科の専門サイト ですね・・・
     
    これからも楽しみです。 どうぞよろしくお願いいたします。

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  12. 指名の仕方をどのようにしたらよいか
    指名の仕方の種類を使い分けるには???

    1、挙手による指名
    2、意図的指名
    3、ランダム指名

    指名の工夫を多様に用いながら、活発で、深まりのある、生き生きとした授業の実現を目指してみてください。

    明日の授業で実践したいと思います。 これからもご指導宜しくお願い致します。

    難しいことを 分かりやすく
      分かりやすいことを 感嘆に 
         感嘆なことを  簡単に

      意図的 計画的 俯瞰的な 指名を実践していきたいと思います。
        授業は 最高ですね ・・・

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  13. SDGs
    ますます理科の授業における環境教育の必要性が高まっていますね・・・

    環境教育
    ・自然と人間の生活との関わりを正しく認識させる。
    ・自然や科学技術と人間との関わりについて、科学的な根拠に基づき考察させる。
    ・自然環境の保全の重要性を認識させ、これに寄与する態度を育てる。

    大切なポイント ご指導 ありがとうございます。

    何本目の論文ですか・・・ すごいですね。
    豊かな社会  持続可能な社会  これからも教えてください。

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  14. 机間指導をどのように行ったらよいか
     一つ目は「全体をくまなく見る視点」です。
      二つ目は「個を重点的に見る」視点です。
       それでは、……

    俯瞰的に見るとは,鷲や鷹のように,高所,大所から,俯瞰してものごとを見ることなんですね…
    一方,個を見るとは,昆虫の眼のように,複眼的に,近いところを,近視眼的に,重点的に見るということなんですね…
    私が,昔聞いた言葉に,「木を見て,森を見ず」という言葉がありますが,全体のバランスも踏まえ,教科経営に取り組んでいきたいと思います。ご教授ありがとうございます。

    なんとも,深い言葉ですね・・・

     教科経営の大切な柱だと思いました・・・

    ありがとうございました。

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  15. 授業をつくるときの大切な視点とは???

    カーオプションの話は分かりやすかったです。
    具体的な話で,身近な話題は,とてもいいですね・・・

    私は,メーカーオプション 後付けオプション どちらもつれていきたいです。
    その場の,柔軟な対応は大切ですね・・・

    これからも 授業に付加価値をつけていきます・・・

    みのり多い授業にしていきます  ありがとうございます

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  16. 理科と日常生活との関連を図るには
    1、知識として役立つ場面 2、応用されている場面 3、今後、必要性が増す内容  多数あるとのこと・・・
    これから,日常に注意して,指導していきます。ありがとうございます。

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  17. 演示で実験・観察を行うときの留意点とは

    学校の授業をしていると,毎日,時間に追われています。
    何を大切にしなければいけないか,教師の本来の姿から考えると,全てを行った方がいいのは分かっているつもりですが,なかなか現実には難しい場面があります。
    理科を好きにするようにするための方策として大切な話をありがとうございます。

    (1)実験・観察の器具の数が不足している。
    (2)薬品や観察物などの教材の数が不足している。
    (3)時数や時間が不足している。
    (4)生徒が行うには、危険や困難を伴う。
    (5)学習指導要領中学校理科解説や教科書で、生徒の観察・実験が必須でない扱いとなっている。
    (6)理科室でしか行えないが、理科室が使えない。

    人,もの,情報,時間,場所,環境… これからもよく考えていきたいと思います。  

    学習指導は当然のこと,生徒指導にも目を配り,教科経営に取り組んでいきます。
    理科教育における危機管理の重要性についてもご教授戴けると幸いです。

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  18. 主体的・対話的・深い学びの実現に向けた,理科の授業のポイントを教えてください。どうぞよろしくお願いいたします。教室環境の整備として,理科室をどう活用したらいいですか?

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