机間指導をどのように行ったらよいか

全体を見る、個を見るときの留意点とは???2023.3

机間指導をする際には、実は2つの見方があります。
一つ目は「全体をくまなく見る視点」です。
二つ目は「個を重点的に見る」視点です。
それでは、それぞれの視点について、考えてみた上で、「生徒とのかかわり方」について詳しく考えてみましょう。

1、全体をくまなく見る

「全体をくまなく見る」とは、「俯瞰的に全体を見回す」ということです。高いタワーや山頂から、街並みや山並みを「広角レンズ」を用いて写真を撮るイメージです。

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皆さんが、車の運転をするときは、多くの時間はこのような見方をしていると思います。視野を広く持って、全体の状況をくまなく把握し、危ない動きをしているものがないか、見つけようとしているからです。
例えば、「小さな子供が風船を手放してしまって、それを追いかけて車道に飛び出そうとしていないか。」など、危機を素早く察知し、次の動きを予測することを含みます。

このように全体をくまなく見わたし、支援や指導が必要なものを察知する場面としては、「ガスバーナーの点火」「水素への点火」などがあります。危険が発生しやすい場面で、用いることが多いのが特徴です。
特に、一斉に班で点火する場面で考えると、危なそうな班がないか抽出することが目的となります。そこから、焦点を定めていく必要があります。

このようにして、危機を早期に察知し、適切な支援の行動につなげます。

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2、個を重点的に見る

「個を重点的に見る」とは、「ある個人やグループに注視する」ということです。
個に焦点を合わせ、近くまで寄り、じっくり様子を観察し分析するイメージです。

皆さんが、ルーペを使って何かを観察するときは、このような見方をしていると思います。このときの視野は狭くなりますが、対象となったものは、細かいところまで観察できます。
個々の生徒の、課題への達成状況やつまずきの原因、心理状態などを見るのには、このように見ることが大切です。意図的な指名をする際の、情報収集の場面にも有効です。

「個を重点的に見る」際には、見る目的を意識することも大切です。その対象をはっきりさせておくと、全体の中から、「個を重点的に見る」対象としたい生徒が発見できやすくなります。
このようにして、支援や必要な生徒にアプローチしていきます。

例えば、生徒が問題に取り組んでいる最中であれば、また、問題の解答に対し、丸つけをしながら回るのも効果的です。個人的にその生徒をほめることができる絶好のチャンスです。
どこまで解けているか、生徒のつまずきはないかなども合わせてチェックし支援をすることができれば、なおよいですね。
この際には、特定の生徒だけにつきっきりにならないようにし、できるだけ多くの生徒に声をかけることも心がけておきましょう。

3、生徒とのかかわり方

さて、2種類の見方をしたときに、どのように生徒と関わればよいか、教員の役割を整理してみましょう。
① 指導・助言
つまずきがある場合、適切な指導・助言を与えます。「努力を要する」状況と評価した生徒に対する指導の手立てを、あらかじめ考えるなどしておくと効率的です。
詳しくは、「指導案の指導の手立てをどのように書くか」のページを参照してください。
② 思考を深める
個々の考えを生かしたりしながら、つなげて深めます。特にグループ学習においては大切になります。
「これは、こういういう意味かな。」
「その考えはいいね」
周りに聞こえるように意識してつぶやいたことが、他の生徒の思考を促したりすることにつながります。
③  コミュニケーション
教師と生徒、生徒同士の良好な人間関係をつくるために行います。話題は、基本的になんでもよいのですが、生徒の関心の高いものほど効果的です。
④評価
本時のねらいの達成状況などを評価したり、PDCAの機能を生かし本時の授業をどう改善していったらよいか考えて、指導に生かしたりします。

机間指導は、生徒の活動状況を把握し、必要な支援や指導を行うのに大切なものです。上記に記したことなどに配慮し、適切に行うと活動がスムーズに進むと思います。

投稿者: KANTAN理科

感嘆!理科と申します。 元公立学校教員です。 理科、環境教育、防災教育に関心があります。   先生方はとかく忙しいので、本サイトを読むことで、少しでも教材研究やきょいく技術の習得をスピーディーに行ってもらいたいと考えています。 特に若い先生方のお役に立ちたいと思っています。

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