日常生活との関連を図るには

関連を充実させて、より豊かな授業を目指そう!!!2023.6

理科の授業では、日常生活との関連を図りことが大切といわれています。
これについて、学習指導要領中学校理科編解説には、次のような記述があります。
(4)日常生活や他教科等との関連を図ること。
理科の内容の中には,日常生活や社会に密接な関わりをもっているものが多い。理科で学習する規則性や原理などが日常生活や社会で活用されていることにも触れ,私たちの生活において極めて重要な役割を果たしていることに気付かせるようにすることが大切である。 以上抜粋 強調文字筆者

 このことは、具体的にどのような場面で実施することができるのでしょうか。ここでは、3つの視点あげ、それぞれの例示を示しながら、具体的な関連について考えてみましょう。

1、知識として役立つ場面

理科で学んだ知識が、日常生活や社会でどういうように役に立つのでしょうか。いくつかの事例をあげて、各内容と役立つ具体的場面について考えてみましょう。

(1)「力の分解」は、地震等に耐えうるように、家を建てる時の柱の太さ、数を決める時などに使われています。
(2)「食物連鎖」は、例えば、「有毒物質」を魚が食べ、体の中で毒素として濃縮すると、その魚を食べた人間の健康が害されるようになります。今話題の「マイクロ・プラスチック」も、同様のしくみで私たちの健康被害が懸念され、プラスチックの使用を削減しようとしています。
(3)「炭酸水素ナトリウムの熱分解」は、ホットケーキなどを作るのに利用されています。台所では、重曹と呼ばれたり、ベーキングパウダー(ふくらし粉)の主成分となっています。
それぞれの用途は、次のようになっています。
 重曹・・クッキー、マフィン
 ベーキングパウダー・・蒸しパン
(4)「刺激と反応」では、刺激を受けてから反応するまで時間がかかるので、「車は急に止まれない」ことの、ブレーキを踏むまでの空走距離の存在を示しています。また、各種スポーツの反応時間の存在を示しています。

2、応用されている場面

理科で学習した内容が、私たちの生活において、どんなところで応用され、活用されているのでしょうか。いくつかその例を挙げてみましょう。
(1)「光ファイバー」は「全反射」という仕組みを用いることによって、より速く、より遠くまで電気信号を伝えることができます。これを用いてインターネット等の情報が伝えられます。この光ファイバーは、今や、地球を網羅する形で網の目のように敷かれています。例えば、日本とアメリカを太平洋の海底を縦断する形でつながっています。
(2)「火成岩」は、研磨して家の「表札」や「墓石」、ホテルの「ロビーの床材」など高級素材として使われています。
(3)「小腸」は、焼き肉やもつ煮にして食べています。焼肉屋では、内臓としての総称「ホルモン」や、小腸だけをさす言葉として「マルチョウ」「ヒモ」「コテッチャン」「シロ」などと呼ばれています。小腸の歯ごたえは弾力に富んでいますが、それは小腸に柔毛があるからです。そのように教えてあげると、より実感がわくと思います。(4)「発熱反応」は「使い捨てカイロ」に見られます。これは、鉄が空気中の酸素と反応して酸化鉄(水酸化第二鉄)になる化学反応を利用しているからです。
(5)「吸熱反応」は「瞬間冷却パック」に利用されています。原料として硝酸アンモニウムと水が使われています。

3、今後、必要性が増す内容

今後、必要性が増す内容やその理由は何でしょうか。いくつかその例を挙げてみましょう。
(1)「エネルギーの変換」は、今後、二酸化炭素の排出量を減らすために、その「変換効率をより高めていく技術の開発」が求められています。
(2)「水素」については、燃焼や燃料電池の原料としての利用が、期待されています。脱炭素社会の実現のために、今後自動車等に、その技術が実用化できるようになる研究開発がなされています。
(3)「地震」の理解を深めることは、今後起きることが想定される首都直下地震、東南海トラフ地震、南海トラフ地震など、大地震に伴う防災や減災のために大切であるとされています。
(4)「自然界での水の循環」や「地球温暖化対策」への理解は、近年の気候変動に治水工事が追い付かない現状について国から示されており、「自助」、「共助」の必要性が増している状況です。
(5)「地球温暖化対策」への理解や主体的な態度の育成は、「食料の安定確保」とともに、「持続可能な社会の実現」に欠かせないものとなっています。

理科においては、このように日常生活に役立ったり、応用されている場面、今後必要性が増したりする内容が多数あります。これらの内容を扱う時には、それをしっかりと意識させ、その価値を十分感じとらせると、記憶の強化にも役立つことが脳の特性から明らかになっています。
日常生活との関連を充実させて、より豊かな授業を目指してみてください。

投稿者: KANTAN理科

感嘆!理科と申します。 元公立学校教員です。 理科、環境教育、防災教育に関心があります。   先生方はとかく忙しいので、本サイトを読むことで、少しでも教材研究やきょいく技術の習得をスピーディーに行ってもらいたいと考えています。 特に若い先生方のお役に立ちたいと思っています。

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