記憶に残る知識にするにはどうしたらよいか②

丸暗記より、有効な4つの方法とは???2023.6

4、有効な4つの方法

ここまで「エピソード記憶」について述べてきましたが、すべてをそれにしていくには無理があります。
「意味記憶」を定着させるには「復習」などによって、覚える努力をすることが必要です。このとき、丸暗記をさせるより有効な方法は、ないものでしょうか。
実は、よりよい方法が、認知心理学をもとに考えると4つあります。では、それぞれの方法や具体的な場面を考えてみましょう

5、有意味化

有意味化とは、もともとは意味性の低い学習内容に、少しでも意味があるように加工して、覚えやすくすることを言います。
例えば、歴史の「年代の語呂合わせ」や、フレミングの左手法則の「電、磁、力」、元素の「水平リーベ」などがこれにあたります。

6、体制化

体制化とは、関連する情報を分類してまとめ、整理して覚えるやり方で、似ている情報を整理し、まとめながら覚えようとすることです。
例えば、順番は気にせずに、深成岩、玄武岩、閃緑岩、はんれい岩、火山岩、流紋岩、安山岩、花崗岩という8個の用語を覚える場合を考えてみましょう。

この場合、ただやみくもに覚えようとするよりも、
深成岩は、花崗岩、閃緑岩、はんれい岩
火山岩は、流紋岩、安山岩、玄武岩

というふうに、関連したまとまりごとに教えていますし、こう整理させた方が覚えやすく、特徴も整理され活用できやすいですね。このような記憶の仕方を体制化と言います。

7、感情化

感情化とは、学習内容に感情を付け加えることです。
心を動かされる出来事ほど、記憶に残りやすいことは、誰しも経験があると思います。
そこで記憶と感情を結びつけ、優先的に記憶に残りやすくする脳の特徴を利用するのです。
ですから授業では、「楽しい」「驚いた」「すごい」「わかりやすい」「やっぱり」といったような、心を動かす工夫がたくさんあるとよいと思います。
また、生徒の発表や意見などに対し、わざとオーバーアクションをするなど、エンターテイナー的要素を、時折交えていくこともよいかと思います。

8、精緻化

精緻化とは、学習内容の意味をより深く理解するために、関連情報を加えて、他の知識や背景と結びつけたり、イメージ化したりすることをいいます。
覚えたいものにまつわる情報を増やし、すでに覚えている情報とつなげることで、ストーリー性が生まれ、記憶は容易になるとともに思い出しやすくなります。
例えば「包丁、メロン、スプーン、皿、」という4つの単語を覚えるのに、メロンを包丁で切って皿に置き、スプーンですくって食べているイメージを想像すると覚えやすくなります。
複数の知識を結びつけて「エピソード記憶」にすることも良い方法でしょう。この時、なるべく関係なさそうな知識を使うのがコツです。

このようなことを利用し、理科で銅を扱うときに、社会科の青銅器や台所の銅の鍋などについて上手にふれることは精緻化にあたり、効果的だと思います。
詳しくは、本サイトの「酸化銅の還元と他教科との関連」をご覧ください。

また、自分の言葉で詳しく説明させてみることもよい方法です。
知識と知識のつながりを説明したり、学習内容を自身の経験や記憶、日々の生活と関連付けたりさせたりするとよいと思います。

このようなことから、機械的な学習より有意味化した学習に。さらには受容的学習より発見学習の実施を心がけていくことも、これらのテックニックを生かす方法となります。
できる限り丸暗記を避け、少しでも長期記憶につながるような授業を目指していきましょう。

参考文献
海保認知心理学キーワード (kagawa-u.ac.jp)

投稿者: KANTAN理科

感嘆!理科と申します。 元公立学校教員です。 理科、環境教育、防災教育に関心があります。   先生方はとかく忙しいので、本サイトを読むことで、少しでも教材研究やきょいく技術の習得をスピーディーに行ってもらいたいと考えています。 特に若い先生方のお役に立ちたいと思っています。

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