挙手を多くするはたらきかけ方

多様な難易度の発問と誤答にさりげないフォローなどを2023.1

授業の中で生徒に質問をしたときに、同じ生徒ばかり挙手する傾向はないでしょうか。このようなことは、中学校1年生からに徐々に見受けられ、困ったことに学年が進むほど、その傾向が強まっていくようです。

では、そのようにならないためには、どのようなはたらきかけが有効なのでしょうか。授業中の生徒の心理状況を深く掘り下げながら、対策について考えてみましょう。

1、多様な難易度の発問を

挙手が少なくなる理由の第一は、なんといっても失敗をおそれてしまうことです。特に中学生は多感な時期ですので、周囲の反応がとても気になってしまいます。
ではどうやったら、おそれないようになるのでしょうか。

まずは、質問の難易度を下げることです。とはいっても、いつも簡単な質問ばかりでは、授業の質が落ちてしまいます。
このようなことを両立させるには、やさしいものから難しいものまで多様に用意することが、簡便な方法です。

たとえば、最も簡単な質問の方法をお教えしましょう。答えを2択で用意し、勘でもよいから正しいと思ったほうに全員必ず挙手させることにすれば、とりあえずよいのです。
当たる確率は1/2ですから、心理的抵抗は最少ですね。そうしておいて、それでは物足りない場合は、適当な生徒を指名し、「なんで?」、「どうしてそう思ったの?」とその理由を聞くのです。
この応用編として2択でなく、3択で挙手させる方法でも使えますね。

このようなことを何度か繰り返していくと、学級全体で挙手の抵抗感が薄れてきますし、また、誤答への不安も和らいでいきます。

2、誤答にさりげないフォローを

誤答をしたときに、「うーん、ちょっと惜しかったね。」と言葉をかけてフォローしたり、ヒントを与えて、さりげなく正解に誘導したりすることが大切です。
また、「半分は正解だね。」「ここまではあっているね。」と中間点の正解を認めてあげることも有効です。

このようにして失敗を、やんわりと受け止めるなど、クッションを利かせることが、失敗のおそれを軽減することになり、しだいに学級全体で失敗を笑顔で受け入れるなど、許容する雰囲気が醸成されていきます。
また、それが発展すると、生徒同士が自主的にフォローしていくことができるようになります。
このようにすると、どんどん挙手の抵抗感が軽減され、果敢に挑戦していく態度の育成につながっていきます。

3、認める 褒めるは、「いいね」と同様

生徒にとって挙手することへのメリットとは、本来は何なのでしょうか。何らかのメリットがあるから積極的になれるのですよね。
それは、一言でいえば「承認欲求」です。認められ、褒められることを、人間は誰でも欲しているのです。

SNSの世界では、「いいね」や「フォロアー」の数が多いことがよく話題にあがります。それと同様なのです。
ですから、どんな小さなことでもよいから、教師が積極的にとりあげ、「認める」、「褒める」ことをしてゆきたいものです。そうすることで、どんどん挙手する意欲が高まってきます。

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また、このとき、「何がよかったのか」について、簡単でもよいから「認める」、「褒める」ことの「理由」を加えることができたなら、なお素晴らしい対応になると思います。
さらには、生徒間でも認め合い、褒め合うことが広げることにもつながり、クラスの雰囲気もどんどん良くなっていきます。

このようなはたらきかけが日常的に行われることにより、授業中の挙手や発言が積極的になっていきますので、ぜひ、少しずつでよいですから、挑戦してみてください。学級の授業に対する雰囲気が、確実によい方向に変わっていきます。

投稿者: KANTAN理科

感嘆!理科と申します。 元公立学校教員です。 理科、環境教育、防災教育に関心があります。   先生方はとかく忙しいので、本サイトを読むことで、少しでも教材研究やきょいく技術の習得をスピーディーに行ってもらいたいと考えています。 特に若い先生方のお役に立ちたいと思っています。

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