資源の循環

「つくる責任つかう責任」とリサイクルを進めよう!!!2023.1

SDGsの目標12には、「つくる責任つかう責任」という内容が設定されています。私たちの生活はさまざまな資源を使うことで成り立っていますが、そのほとんどは有限です。現在のような消費を続ければ資源はいずれ枯渇し、生活や経済活動に大きな影響を及ぼします。

このような中で、「理科における環境教育」を進めるには、資源の循環についての理解を深めておくことが不可欠です。
そこで、「3R」をはじめとした見識を広げるとともに、「水平リサイクル」「アップサイクル」や「都市鉱山」についても、詳しく見つめていきましょう。

1、3R(スリーアール)

リデュースごみを削減することをさしています。製品寿命が長いものを生産したり、新品の購入機会を減らしたりすれば、廃棄物の量も少なくなるので、3Rの中で最も優先すべき事項です。

リユースは、不用品になったものを必要としている人に譲ることで、資源の使用を抑える効果をねらっています。

リサイクルは、再資源化することで、使用済みのペットボトルからフリースを作ることなどがこれにあたります。
しかし、新たに製品を生産するとなると、温室効果ガスの排出などを伴います。まずは生産・購入量を減らし、できるかぎり長く使用してからリサイクルに出すのが理想的です。

2、「水平リサイクル」とは

「水平リサイクル」とは、使用済みの製品がまた同じ製品として生まれ変わるリサイクルシステムをさします。

以前から 、「アルミ缶からアルミ缶」「ダンボールからダンボール」「ビンからビン」といった形のリサイクルは行われていました。
同様に、使用済みのペットボトルを新品に再生すれば、新たな原料を必要とせず、環境負荷の小さい循環ができます。

このように水平リサイクルは、とても環境にやさしい方法ですが、国内で販売されたペットボトルは、2020年度で約16%にすぎないとのことです。今後消費者の意識を高めて、より普及するようにしていくことが大切だと思います。

3、「アップサイクル」とは

「アップサイクル」とは、捨てられるはずだったものに、手を加え新しい価値を与えて再利用することです。ものとしての寿命が伸びる効果があります。また、1から作るより作業工程を一部カットでき、その分、二酸化炭素の排出量も減らせます

このような例として
・メンズのネクタイやジャケットから婦人服を製造
・規格外のスパイスからクレヨンを製造
・災害廃棄物の中でリサイクルできない混合廃棄物(がれき残渣)を使い「アップサイクルブロック®」を生産
・サンドイッチ製造で発生し活用しきれない“パン耳”を乾燥加工し、クラフトビールの原料として使用
などがあるそうです。

4、都市鉱山

金属は古くからリサイクルされてきた歴史を持ち、特に貴金属(金、銀、白金、パラジウムなど)や一部のベースメタル(鉄、アルミ、銅など)については、一定程度システムが確立され機能しているようです。

また、小型家電には、実はさまざまな金属が使用されています。
スマートフォンを例にとると、振動モーターにはネオジム、ジスプロシウム、液晶画面にはインジウム、ICチップには金・銀・銅・スズ、コンデンサにはタンタル・マンガン・ニッケル・バリウム・チタン・パラジウム、バッテリーにはリチウム・コバルトなどが使われているそうです。

これらを再利用できるようにすれば、有望な金属資源となりえますので「都市鉱山」と呼ばれ、より一層の普及が望まれています。

都市鉱山で、特に重要とされているのが「レアメタル」です。
例えば、脱炭素社会の実現に向け、ハイブリッド車やLEDライトなどが普及したことにより、これらの材料としても大量に必要になってきています。その他、省エネに必要なレアメタルの重要性は年々高まっており、ますます欠かせない資源となっていくと言われています。

また、都市鉱山からのリサイクルは、天然資源の採鉱にかかる時間やコストの削減、資源そのものの節約につながるなど、多くのメリットがあると言われています。

また、砂(SIO2)銅やの供給不足も、最近深刻な問題になってきています。このことについては、「砂の不足問題とは?」や「銅の不足問題とは?」にて詳しく解説したいと思っております。


参考文献 
普及進むか “水平リサイクル” | NHK | WEB特集
都市鉱山から回収が期待される金属 | 産総研:SUREコンソーシアム (aist.go.jp)
都市鉱山とは ~ 1分でわかるキーワード – ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース (softbank.jp)
アップサイクルとは?意味や商品例、アイデアなどを紹介。 服やバッグなど | 「森の中」森を知り、感じるためのメディア | 齋藤木材工業株式会社 (mori-naka.jp)
アップサイクルとは?言葉の意味や5つの事例を紹介します – サステラ (susterra.net)

投稿者: KANTAN理科

感嘆!理科と申します。 元公立学校教員です。 理科、環境教育、防災教育に関心があります。   先生方はとかく忙しいので、本サイトを読むことで、少しでも教材研究やきょいく技術の習得をスピーディーに行ってもらいたいと考えています。 特に若い先生方のお役に立ちたいと思っています。

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