扇状地などをどう教えるか

V字谷、扇状地、三角州を身近に教えるコツとは???2023.3

教科書では、V字谷、扇状地、三角州について、日本の代表的な写真を示しながら解説しているかと思います。
一方で教科書には、その性格上どうしても不足してしまうのは、地域にあるこれらの地形の紹介です。それをしないと、どこか他人事の知識になりかねません。ゆえに私たち教師は、それを積極的に調べて扱うことが求められているとも言えます。
このことに対応することで、生徒はこれらの地形に親しみをもち、深い理解や生きた知識につながります。
そこで、これらの地形とについて、少し知識を増やすとともに、具体的な指導法を考えてみましょう。

1、V字谷

V字谷は強い浸食を受けて険しい崖になり、谷底に平らな部分がありません。
V字谷の形成は、隆起運動の激しい地域で、谷が横へ広がるより早く下へと進む場合に形成されることも多いとされています。

日本の代表的なV字谷には、黒部峡谷があります。
V字谷は「峡谷」とも言われ、通常「〇〇峡」との名前が付けられ、景勝地となっています。ですから、地域のそれを写真などで積極的に紹介していくと、身近にもあることを意識できて、とてもよい指導しなると思います。
そして、もしそこに行ったことがあれば、なおのこと実感を伴った深い理解につながることと思います。

2、扇状地

扇状地は、急流が狭い山間地から広い平坦地に出たときに流れが弱まり、運ばれてきた土砂が、扇状に堆積してできた土地です。
このことから扇状地は、浸食・運搬・堆積の3つの作用とも、解説しやすい地形の例となっています。

日本の主な扇状地には、岩手県の胆沢扇状地、栃木県の那須野ヶ原、甲府盆地、富山県の黒部川扇状地、滋賀県の安曇川扇状地などがあります。
地域の扇状地の探すには、山地が平地へと変わるところ一帯に目をつけ、そのあたりに一定程度の大きさの川があると、可能性があるとみてよいでしょう。
さらに、地図等で扇状に近い傾斜が確認できれば、その確率はかなり高いと思われます。

また、一部の扇状地は、他の地形的要因から、きれいな扇状になっていない場合が少なからずあります。このような一例として、複数の河川が複合してできた扇状地があげられます。
例えば、長野県中部の松本市を中心とする盆地は、松本平、安曇平(安曇野)とも呼ばれる、梓川など4つの河川による扇状地です。このため、地図上で扇状を見つけにくい形となっています。

扇状地の湧水がある扇端は、古くから集落や水田として利用されてきました。
一方、水はけがよく水を入手しづらい扇央は、モモ、リンゴ、ブドウなどの果樹園や桑畑として利用されます。一般的にはこのようなことが多いのですが、都市化している場所も見られます。
このような知識も、地図上から扇状地を見つける手がかりとなります。

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3、三角州

三角州は、河川によって運ばれた土砂が河口付近に堆積してつくられた地形で、東京、大阪、名古屋、広島も三角州の上に発展した都市です。
名前の通りきれいな三角になっているものもありますが、扇状地同様、やや崩れた形のものもあります。また、三角州は、大きな河川に見られる傾向があるようです。
三角州は、平地なので人が住みやすく、海も近いので工場や港など、経済活動をするには適した土地なので、都市化しやすいのも特徴です。

この三角州を身近に感じさせる具体的方法として、東京スカイツリーや原爆ドームを話題に出すとよいかと思います。
これらの建物は、生徒がよく知っているものであり、これらをGoogle Earthストリートビューで見せて、これをズームアウトしていくと、三角州が見えてきますので、有効な方法かと思います。

Photo by WENCHENG JIANG on Pexels.com

参考文献 
Microsoft PowerPoint – 11)河川によって形成された扇状地 – 6 (gsi.go.jp)
地理 | 高校講座 (nhk.or.jp)

投稿者: KANTAN理科

感嘆!理科と申します。 元公立学校教員です。 理科、環境教育、防災教育に関心があります。   先生方はとかく忙しいので、本サイトを読むことで、少しでも教材研究やきょいく技術の習得をスピーディーに行ってもらいたいと考えています。 特に若い先生方のお役に立ちたいと思っています。

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