植物の新しい分類とは

新しい分類にどう対応したらよいか???  2024.5

最近の植物図鑑の「科」の記述を見て、「おやっ」と思われた方はいませんか?
また、植物園の職員の話として「その花は何科ですか」と聞かれると、少しあわてるともいいます。
これらは植物の分類が、新しい手法による分類に変更されたことを受け、それに対応するためだそうです。
さて、このことについて、私たち学校現場では、どう対応したらよいのでしょうか。今回はこのあたりを考えてみたいと思います

1、新しい分類とは
新しい分類とは、「APG分類体系(Angiosperm Phylogeny Group=被子植物系統研究グループ)」といい、1998年に発表されました。その後さらに多くの植物を分析した結果、現在は2016年に発表された「APGⅣ」が最新版となっています。
では具体的に、何がどのように変わったのでしょうか。
身近な例をあげれば、赤や黄色に紅葉するカエデの仲間は、カエデ科ではなくムクロジ科となり、カエデ科はなくなりました
スギはスギ科でしたが、スギ科がなくなり、ヒノキ科に入り、ユキノシタ科に入っていたアジサイは、アジサイ科として独立しました。

2、なぜ新しい分類になったのか
この新しい分類方法は、今まで行われてきた茎・葉や花などの形を比較して分類する方法に加え、DNAの遺伝情報をもとにした分子系統学の見解を合わせ考えた方法です。
今までは、系統が違う植物が、姿形が同じなので同じ仲間になっていたという課題があったようです。また、これまで目や科の特徴に重点をおいてまとめた図鑑が無かった理由の一つは、科や目の類縁関係がよくわからなかったためのようです。
陸上植物の系統関係は、この20年間の系統分類学の進歩で、ほぼ解明されたとのことです。遺伝子情報を用いた分子系統学的方法の確立と、形態や化学成分などの情報も総合して解析する分岐系統学的方法の確立によって、陸上植物の類縁関係の多くの部分が明らかになってきたのです。
そこで、これまで用いてきた全ての植物図鑑の目や科の分類は大きく変更され、新たに整理されることになったのです。

しかしこれに伴い、図鑑により科名が異なるなどの混在が生じています。ただし、今までの本や図鑑が役に立たなくなるのではありません。植物が変わるわけではないし、分布が変わるわけでもありませんので、科名や属名以外は問題ないと考えてよいとのことです。
でもひょっとすると、植物の名前などを調べながら、この方法変更に気づく生徒が出てくる可能性はあるといえるでしょう。

3、合弁花類と離弁花類
今まで、「被子植物を単子葉植物と双子葉植物」の二つに分けて、さらに、「双子葉植物を合弁花類と離弁花類」に分けていました。
しかし、この新しい分類によると、被子植物を「原始的な双子葉植物、単子葉植物、真正双子葉植物」の三つに分けることになったといいます。
また、「双子葉植物を、合弁花類と離弁花類に分けない」など、今までの分類表とはかなりの相違点があり、その点の注意が必要だといわれているそうです。

4、現在と今後の対応
この原稿を書いている2024年時点での中学校理科の教科書では、みなさんご存じの通り「合弁花類と離弁花類」「単子葉類と双子葉類」を扱っています。
ですので、結論的には、「私たちの中学校理科では、これらの変更への対応は、現在は基本的に必要ない」といえます。
ただし将来的には、上記の事情により、3で書いたように教科書の記載が変わっていく可能性はありえるともいえるでしょう。その辺のかじ取りは文部科学省が行いますので、そのタイミングで教え方が変えることになるかもしれませんね。
これもまた、科学技術の進化ととらえていくべきなのでしょうね。

参考文献 
新しい植物分類 | 一般財団法人 公園財団 (midori-hanabunka.jp)
どっちが正解 第2章|オフィシャルブログ|東山動植物園 (city.nagoya.jp)
植物/被子植物の分類体系について – 広島大学デジタル博物館 (hiroshima-u.ac.jp)
陸上植物の進化-背景 (nibb.ac.jp)

直流と交流の使い分け

どのように直流と交流を使い分けているのか???2024.5

 

電気には直流(DC)と交流(AC)の2種類のタイプがあります。
私たちの身の回りの電気機器は、直流と交流のメリット、デメリットを考慮し、それぞれ目的に応じて使い分けられています。
今回は、直流と交流のメリット、デメリットにはどのようなものがあるのか比較するとともに、家電製品によってどちらが使われているか、それはなぜなのか紹介していきましょう。

1、直流と交流が両方存在する理由
直流と交流の両方が存在する理由は、歴史的な経緯などがあるからです
初期の発電では直流が主流でしたが、交流が長距離送電に適していることがわかり、電力発電や送電の分野での利用が広がりました。
現在では、それぞれの特性を生かし使い分けられています。では次に、その特性について見ていきましょう。

2、直流のメリットとデメリット
直流は電池を充電することができます。これは、直流は、+-極が常に一定なためです。
電池は化学反応により電気を発生させており、化学反応の方向が変わることはないので電流の向きは常に一定となり、電池から取り出せる電気は直流となります。
また、充電をする時は、使用中とは逆方向から電気を加えることになります。このようにすると逆の化学反応がおき、電子の状態が元に戻り、再度使用できるようになります。このようにして、直流で電池を充電することができるのです。

4、交流のメリット
交流は大きさと向きが常に変化していることから、電磁誘導作用を利用して変圧器で容易に変圧することができます。
また、交流は長距離送電が得意です。交流では高圧で送電することが可能のため、電力損失も小さくて済み、効率よく送電ができます。また、電線の数も少なくて済むため、大変経済的です。
このような特長を生かし、高圧で長距離送電を行い、家庭で使用するときには低圧に変圧して利用するわけです。
さらに交流は、直流に変換することも容易ですので、コンセントまで交流で送電し、電化製品で直流に変換するということができます。

3、直流のデメリット
直流は大きさも向きも常に一定であるため、変圧することが難しく、そのためには大掛かりな設備が必要になります。
回路の途中で変圧ができないと、回路の電圧に合わせて電源を用意しなければならないなどの不便さがあります。

6、交流のデメリット
交流は常に大きさが変化しているので、品質管理が難しい特性があります。
家庭のコンセントの電圧も基本は交流の100Vですが、厳密に言うと実際は数ボルト程の変動があります。この変動があまりにも大きいと、機器の故障などにつながる場合もあります。変動が少なく理想的な電圧を確保するためには、位相や周波数などを適切に管理する必要があり、高い技術が求められています。

6、家電製品は直流と交流?
以上のメリットとデメリットを考慮したうえで、私達の身の回りの機器では目的に応じた電気が使われています。
直流は一定方向にしか流れませんが、交流は遂次向きを変化させます。向きを変える交流の性質は、基本的には電化製品には不向きなのです。このため、多くは直流が使用されています。
その具体例をあげると、次の4つに分類できます。
1.直流電源を用いる・・時計、ラジカセなど乾電池を使うもの
2.交流電源をそのまま使う・・扇風機、ジューサー、ミキサー、蛍光灯など
3.交流を直流にして使う・・・テレビ、ラジオ、オーディオ、パソコンなど
4.交流を直流し、再び交流化する・・洗濯機、冷蔵庫、エアコン、電子レンジインバーター式蛍光灯などのインバータ方式の製品など
基本的にバッテリーを内蔵した製品の電気系統は、直流で構成されています。

精密機器は動作に安定した電圧が必須のため、直流や、交流を直流に変換した電源を使用しています。
モーターで駆動する単純な機構の家電製品は、交流を直接利用しているものが多くあります。例えば、扇風機や掃除機には繊細な制御が必要ないため、多少電圧が上下しても問題は起きません。照明器具も同様の理由で交流をそのまま使用しているものが多く市販されています。


直流と交流の使い方は、時代とともに技術進歩とともに変化しています。
たとえば洗濯機、冷蔵庫、エアコン、蛍光灯などように、かつては2.の交流電源だったのですが、省エネ性や制御性に優れていることから「インバータ方式」が採用され、4.の方式に移ってきました。

参考文献 
直流と交流の違いとは?メリットとデメリットをわかりやすく解説! – 電気の泉 (electricityprofessional.com)
身近な電気の話 ㊶ ほとんど直流です | その他暮らし | ファイナンシャルフィールド (financial-field.com)
直流とは?交流とは何が違う? – 東北制御 (tohokuseigyo.net)
電気には『直流』と『交流』の2種類がある?その特徴と違いとは|生活110番 (seikatsu110.jp)