電流の単元導入をどのように工夫するか

電流に関心をもたせる工夫とは???
2023.12

 

電流の単元導入では、まずは電流の様々な現象の不思議さを見せて、関心を高めることが多いかと思います。
それは大変よい方法ですが、この単元は、「電気製品が私たちの生活を豊かにしている」という視点があり、そこに注目させてから、個々の学習内容に入ることは大きなメリットがあるのではないかと思います。
なぜなら、今の生徒たちは、生まれながら、ほぼ全ての家庭用電気製品がある環境で育っているため、「あってあたり前」という感覚が染みついているのではないでしょうか。そのような状態では、電気製品のありがたみを感じにくく、ひいては電流に関する関心が弱くなっても無理はありません。
そこで、電気製品や発電の簡単な歴史や、その当時の人々の思いを扱い、その価値に気付かせることも大切でないかと考えています。
では、さっそく日本の電気製品普及の歴史について、簡単に見ていきましょう。

1、電灯と電力供給

今からおよそ140年前の1882年(明治15年)に、日本初の電灯(アーク灯)が東京・銀座に灯されました。その後、明治20年になって、家庭への電気の供給(配電)が行われはじめました。
また、第1次世界大戦から太平洋戦争に至るまでの期間に(大正時代の頃)、工場動力の電化が進みます。さらには、東京市内の家庭には電灯が完全普及し、ラジオ放送も始まりました。

2、戦後の三種の神器

1950年代には「テレビ、冷蔵庫、洗濯機」が三種の神器と呼ばれ始め、しだいに家庭に普及していきました。
この頃の生活の様子と感動を表した、こんな詩があります。

ぼくらが こどものころ 洗濯は ちょっと つらかった
水を たらいに くんで 洗濯板で ごしごし ‥‥‥
しもやけが できた こしが いたくなった

あるひ 電気洗濯機が やってきた
ちょっと つらいが ちょっと たのしいに なった‥‥‥
それから 電気冷蔵庫が やってきた
テレビも 電気掃除機も やってきた

電化製品と だれかが なづけた 
たくさんの ちょっとつらいが たくさんの ちょっとたのしいに なった‥‥‥
電化製品は 神様みたいだった みんなで おがんだ

さすがに今の生徒は、電化製品を「おがんだ」ことはないでしょう。
「うれしい」を通り越して、「どれだけ、ありがたかったか」ズシリと伝わってくる一行です。今の生徒にとっては、祖父母あたりの時代かもしれませんね。

さて、1960年代には新・三種の神器として、「車、クーラー、カラーテレビ」がそう呼ばれ始めました。また、1964年の東京オリンピックを機に、日本は経済大国への道を歩み出し、高まる電力需要に応えて大規模な電源開発が始まりました。
その後、電気冷蔵庫、電気洗濯機、カラーテレビ、電気掃除機については、1980年以降ほぼ100%の普及率となるなど、様々な家電製品が普及してきました。

2、2000年代は

1990年代後半になると携帯電話が急速に普及し始めました。ゲーム機も、成人がゲームをすることも珍しくなくなったことで、子供の玩具から家庭の娯楽機器の要素も持つようになっていきました。
2000年代は映像情報機器・オール電化住宅が話題となり、インターネットが社会インフラとなりました。
この頃より、冷蔵庫・洗濯機・エアコン・電子レンジ・炊飯器など、家事の負担を減らす、いわゆる「白物家電」は、その寿命とともに買い替えることが主となりました。
それに対し、テレビ・レコーダー・カメラ・ゲーム機などは、半導体技術の進歩に伴い、年々進化が進んでいます。

どうでしょうか。これらの中のいくつかについて、少しふれていくことで、電気製品の価値が実感でき、学習する意欲につながるような気がします。ぜひ取り入れてみてください。

参考文献
電気の歴史(日本の電気事業と社会) - 電気事業について | 電気事業連合会 (fepc.or.jp)
第1章 第1節 6 コラム3 家庭電化製品の普及と地方回帰の動向|平成19年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府 (cao.go.jp)
電化の歴史 (hidenka.net)

投稿者: KANTAN理科

感嘆!理科と申します。 元公立学校教員です。 理科、環境教育、防災教育に関心があります。   先生方はとかく忙しいので、本サイトを読むことで、少しでも教材研究やきょいく技術の習得をスピーディーに行ってもらいたいと考えています。 特に若い先生方のお役に立ちたいと思っています。

コメントを残す