主体的な学びを実現するには

自らの学習を調整するとはどういうことか???
2024.2

新学習指導要領に基づいた資質・能力の育成に向けて、「主体的・対話的で深い学び」や「個別最適な学習」など、新しい学びが学校教育に導入されてきています。
このうち「主体的な学び」について、文部科学省は「学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる」と述べています。
では、その実現にあたっては、どのようなことを大切にしていったらよいのでしょうか。具体的に見ていきたいと思います。

1、主体的な学習
生徒が主体的に学習に取り組む環境を整えるには、例えば次のようなことが考えられます。
① 生徒に個別で作業する時間を与え、自分のやり方で課題に取り組む時間を確保する
② 生徒の発言をうながし、授業中に児童・生徒に考えを言わせる機会を与える
また、そのほかの視点として「興味や関心を高める」「見通しをもつ」「自分と結びつける」「粘り強く取り組む」「振り返って次につなげる」などが考えられます。さらに、それらを実現するには、「切実感のある課題設定」「試行錯誤できる学習環境」「多様な学びの提供」「学習内容のまとめや適用」「文字言語での振り返り」などが大切になります。

2、自己調整学習とは
「主体的に学習に取り組む態度」の評価の方法として、「粘り強い取組を行おうとする側面」と「自らの学習を調整しようとする側面」が取り入れたことはご承知のことと思います。このことからもわかるように、文部科学省も重視しているのが、いわゆる「自己調整学習」です。

自己調整学習では、生徒が自分自身の学習活動に能動的に関わり、自らの学習を調整するという学び方を目指します。言い換えれば、目標を達成するために、自分の学習に対する意欲や学習方法を自ら観察、調整し、効果的に学習を進めていくのです。
このような、自己調整学習を実現して主体的に学ぶには、「目標とその達成のための計画を立て」(plan)、「実行し」(do)、「結果をもとにふり返り改善する」(see)というサイクルを回し続けることが大切といわれています。

3、自己調整学習が成立するために必要な要素
生徒が自己調整学習を行うために大切にしたいこととして、次の3つの要素があります。
(1)動機づけ
何のために学習をするのか、学習に向かっていく推進力となるものが動機づけです。これは、「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」に分けられます。
この二つのうち、より望ましいのは「内発的動機づけ」です。しかし、内発的動機づけが難しい場合は「外発的動機づけ」でも、あったほうがよいのは言うまでもありません。そして、それを維持したり、高めたりすることが大切です。
(2)学習方略
学習方略とは簡単に言えば、学習方法ということです。
学習方略は、さらに、「認知的な学習方略」と「情意的な学習方略」の二つに分類することができます。
「認知的な学習方略」とは、「どのように覚えるか、どのように理解するか」という認知に関わる学習方略です。
一方、「情意的な学習方略」とは、「困難な課題に対する時にどのように気持ちを学習に向かわせるか」といった気持ちに関わる方略です。
これらには、一般的な方略がありますが、大切にしたいのは、「それぞれの生徒に適する学習方略は異なる」という考え方です。
自分の適性を見極めた上で、
「自分にはこの学習方法が合っている」とか、
「今回やった方法は合わなかったから、次は違う方法に挑戦しよう」
というように記憶方法などを選択し、自己調整していくことで、より自律的で深い学びを実現できます。
もちろん、先生方から学習方略を示すことは必要なことでありますが、「その中から選び自分のものとして活用していくのは生徒たち自身である」という考え方が大切です。つまり「個別最適な学びを目指す」ためには「指導の個別化」「 学習の個性化」という視点が大切になってきます。
(3)メタ認知
メタ認知とは自分自身を客観視して、明確に理解することなどをさします。
メタ認知には、
・モニタリング…自分自身を客観的に観察して、課題を認識する
・コントロール…課題を自覚したり、行動を改善しようとしたりする

という2つのステップがあります。

これら3つの要素の実行をとおして、主体的な学びを実現することが、自己調整学習で目指していることといえるでしょう。

参考文献 
自己調整学習とは?ー教育ホットキーワード | キャリア教育ラボ (mynavi.jp)
自己調整学習 コアネット教育総合研究所 (core-net.net)

投稿者: KANTAN理科

感嘆!理科と申します。 元公立学校教員です。 理科、環境教育、防災教育に関心があります。   先生方はとかく忙しいので、本サイトを読むことで、少しでも教材研究やきょいく技術の習得をスピーディーに行ってもらいたいと考えています。 特に若い先生方のお役に立ちたいと思っています。

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