酸化銅の還元と他教科との関連

他教科との関連のはかり方とは???2023.5

生徒にとって理科の授業は、新しい概念形成する活動が多いといっても過言ではないでしょう。では、その概念はどのようにしていったら容易に理解し、受け入れることができるでしょうか。
また、獲得した概念を他教科と結び付けて、より価値あるものとして、強固な知識の定着を目指すにはどんなのものがあるのか、考えてみましょう。

1、受け入れやすいストーリー化

生徒たちが受け入れやすい理解の方法として、ストーリー化、(擬人化)があります。例えば、酸化銅の還元をストーリー化、(擬人化)するとこのようになります。
「酸素と銅は仲がよくくっついていましたが、そこに炭素が現れました。酸素は銅とも仲がよいが、炭素とはもっと仲がよかったのです。このため、酸素と炭素はくっついて二酸化炭素となります。この結果、酸化銅から銅が現れます。」
と、このようになります。どうでしょうか。敷居が低くなったと思いませんか。

2、他教科の関連の図り方

そして、さらにはこの続いて、次のような話をしていくと、他教科の関連を図ることができます。
「道具の素材としての金属を欲しがっていた人類の祖先は、おそらくは経験的に見つけたこの還元反応を利用し、酸化銅から銅をとり出せるようになったようです。」
「銅は柔らかくて、そのままでは人間が使う道具の素材として難がありますが、スズを混合することでより硬くなり、磨いたり延ばしたりするなどの加工ができるようになりました。この混合物は、木炭を使った原始的な炉で溶かすことができたので、古代には斧・剣・銅鐸などに形づけて、広く使われました。これが社会科で学んだ、いわゆる青銅器の正体なのです。」

このようなそれぞれの教科で学んだ話を、つなげてみると、実に味わい深い話に彩られ、知識の世界に広がりをもたらすことになるとともに、印象深くなることでしょう。

3、主力産業としての銅

銅の生産は明治、大正、昭和の時期、海外への輸出が盛んでした。「絹」と「銅」は、当時まだ貧しかった日本の、貴重な外貨を稼ぐ役割を果たしていました。
現在に例えれば、主要な輸出産業の「自動車」に匹敵するものであったと思われます。
銅山でとれた銅鉱石(酸化銅等)を銅にしていた著名な場所として、足尾鉱山と精銅をしていた日光市(栃木県)や別子鉱山(愛媛県)、日立銅山(茨城県)が日本三大銅山と言われていました。

4、現在の利用価値

銅は電流を通しやすい性質を持っていますので、現代でも、主に電線や工業電化製品に用いられています。
また、銅は鍋になる材質の中でもっとも熱伝導率が高く、銅鍋は昔から世界中のプロの料理家に強く支持され続けています。日本の一般家庭ではなかなか見かけませんが、ヨーロッパの家庭では、日常的に使用されており、ピカピカに磨かれた銅鍋がキッチンに吊り下げられている光景も珍しくはありません。
銅鍋は熱が均等に伝わるので温度にムラが生じにくく、水も驚くほど早く沸騰します。逆に一度温めた熱が冷めにくいという利点もあるので、ガス代や電気代の節約にもなるそうです。

Photo by Ron Lach on Pexels.com

参考文献
プロが愛する「銅鍋」の魅力。お手入れ次第で一生ものに! – macaroni (macaro-ni.jp)
銅 – Wikipedia

投稿者: KANTAN理科

感嘆!理科と申します。 元公立学校教員です。 理科、環境教育、防災教育に関心があります。   先生方はとかく忙しいので、本サイトを読むことで、少しでも教材研究やきょいく技術の習得をスピーディーに行ってもらいたいと考えています。 特に若い先生方のお役に立ちたいと思っています。

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